エンジニアが「テニスを事業にする」と決めて10年。理想と現実、そして得られた本当の資産
今から10年ほど前。
30代後半を迎えた私は、エンジニアという職業特有の「運動不足」と、それに伴う生産性の低下に強い危機感を抱いていました。
「エンジニアが健康で長く働き続けるためには、テニスという運動習慣が最適解ではないか?」
そう考えた私は、単にテニスを楽しむだけでなく、それを一つの「事業」として成立させるための計画を立てました。
テニスの魅力を発信し、集客し、コミュニティを作る。その活動を事業として計上し、本気で取り組むことにしたのです。
掲げた計画と、直面した「未達成」の現実
この10年間、いくつかの目標を掲げて走ってきました。
しかし正直に言えば、ビジネスとしては「未達成」の連続でした。
- アクセス集客と広告収入の壁 YouTubeへの参入が遅れたこと、そしてジュニアのポイントランキング情報以外に大きな集客の柱を作れなかったこと。広告収入という「待ち」のモデルは、想像以上に難易度が高いものでした。
- コミュニティ運営の誤算 「サークル活動の場を提供したい」と考えていましたが、同時期に「テニスベア」という圧倒的に便利なプラットフォームが登場。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、イベント需要そのものが冷え込む時期が続きました。
メイン事業の傍ら、「サブ」的な意識で挑んでしまった甘さが、結果としてマネタイズへの執着心を削いでしまったのかもしれません。
ネットのみで完結させれたら良かったですが、SNS も運営者が見えないと信頼性が落ちますし、リアルなイベントならなおさらですよね。
10年経って手元に残った「本当の資産」
数字上の売上には繋がらなかったかもしれません。
しかし、振り返ってみると失ったものばかりではありません。
- 40代半ばにして「最強の集中力」 検証の最大の目的であった「運動による生産性維持」は、自分自身の身体で見事に証明されました。40代半ばを過ぎても、20代の頃に負けない体力と集中力を維持できているのは、間違いなく継続してきたテニスのおかげです。
- 「誰かの行動」を変えたという事実 私の記事を読み、実際にテニススクールへ入会したという方に出会うことができました。これは、自分の発信が「広報」として機能し、誰かの人生にポジティブな影響を与えたという、何よりの証拠です。
【実績】実体験から見えた「自分に最適な環境構築」のログ
事業として発信する以上、自分自身が「実験台」となり、多くのテニスグッズやケアアイテムを試してきました。
これは単なる買い物ではなく、エンジニアが開発環境を整えるように、テニスにおける「パフォーマンスの最大化」と「身体のデバッグ(怪我の予防)」を追求した記録です。
例えば、ガット一つとっても、コーチの助言をきっかけに「あえて振動止めを外して」打感の解像度を上げる検証を行ったり、逆にポリガットへの移行期には身体への衝撃をどう逃がすかを試行錯誤してきました。
また、エンジニアの職業病ともいえる手首や肩の疲労に対しては、マッサージガンやサポーターなど、あらゆるケアアイテムを導入し、どれが本当にリカバリーに効くのかを自らの体でテストしてきました。
こうした一つひとつの積み重ねが、同じ悩みを持つプレイヤーに向けた「嘘のない情報」となり、私の発信の血肉となっています。


これからのピボット:情報の「広さ」から「深さ」へ
これまでのように「情報の網羅性」や「広告収入」という発展性の少ない目標を追うのは、一度やめます。
これからは、エンジニアとしての視点をより研ぎ澄ませ、自分にしか書けない「体験」や「検証」を深掘りしていこうと思います。
受動的な情報待ちではなく、自ら企画し、動くこと。
5年間の失敗は、次の5年を面白くするための貴重な「ログ」です。
この活動が、同じように「仕事と健康の両立」に悩むエンジニアの道標になるよう、これからもコートに立ち、発信を続けていきます。
