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Aurora MySQL 3.12.0 登場!LTS版 3.10.3 からアップグレードすべきか?徹底比較ガイド

saratogax
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2026年2月、待望の Aurora MySQL 3.12.0 がリリースされました。

新バージョンの登場はワクワクするものですが、運用担当者として気になるのは「今使っている LTS(長期サポート)版から動かす価値があるのか?」という点ではないでしょうか。

最新バージョンの魅力を評価しつつ、あえて「今はステイ」という選択肢も含め、フラットな視点で各バージョンの違いを整理しました。

バージョン別リリースノート詳解

3.10.x (LTS) 系のサマリー

LTS(長期サポート)版である 3.10.x 系統は、MySQL 8.0.42 をベースにした「安定性の決定版」です。

最新の 3.10.3(2026年1月2日リリース)では、通信暗号化時の CPU 負荷軽減や監査ログの信頼性向上といった、運用に直結する重要な修正がしっかりバックポートされています。

新機能の追加は控えめですが、その分「予期せぬ挙動の変化」が極めて少なく、一度構築したシステムを長く安心して使い続けたいプロジェクトにとって、今なお最も信頼できる選択肢です。

3.11.x 系のサマリー

3.11.x 系統は MySQL 8.0.43 互換となっており、LTS から一歩踏み込んだ機能強化が行われています。

特に、AWS Lambda 呼び出し時のタイムアウト設定が可能になったことや、64TB を超えるような超巨大ボリュームでの S3 エクスポート速度の最適化など、特定の高度なユースケースに応える内容が中心です。

その他にも、Serverless v2 のメモリ管理や長時間トランザクション時の安定性向上が図られていますが、多くのプロジェクトにとっては「あれば嬉しいが、必須ではない」という機能が多いため、LTS から移行する決定打としては少し弱い印象です。

3.12.0 のサマリー

最新の 3.12.0(MySQL 8.0.44 互換)は、パフォーマンス改善に意欲的です。

数 TiB クラスの巨大 DB における再起動時間の短縮や、特定の書き込み負荷時の IOPS 向上など、大規模環境で恩恵を受ける修正が目立ちます。

さらに、運用面で注目したいのが、リーダーインスタンスでのメタデータ同期不整合(Table does not exist エラー等)に関連する修正が含まれた点です。

3.10, 3.11, 3.12 の比較まとめ

比較項目3.10.3 (LTS)3.11.13.12.0 (最新)
MySQL互換性8.0.428.0.438.0.44
運用のスタンス安定性と保守を最優先特定の新機能が必要な場合性能と最新修正を追求
主なメリット長期サポートの安心感Lambda連携の柔軟性向上巨大DBの再起動高速化
特筆すべき修正セキュリティ・通信負荷軽減Serverless v2 の安定化DDL同期不整合の改善
サポート期間長期 (LTS)短期(次のLTSまで)短期(次のLTSまで)
※表は横スクロールできます

【考察】DDL 操作に起因する不具合への期待

Aurora MySQL 3 系において、Writer で連続して DDL(ALTER 等)を実行した際に、Reader 側でテーブルが見えなくなる、あるいは定義不整合が起きるといった現象に悩まされるケースがあります。

今回の 3.12.0 では、「Reader でのクエリと Writer での DDL が重なった際に、Reader でテーブルが存在しないエラーが出る問題」への修正が明記されました。私の環境で発生している現象がこれと完全に一致するかは検証が必要ですが、メタデータ同期の挙動に手が入っていることは確かです。

Fixed an issue, which in rare cases, caused intermittent unavailability of an Aurora Read Replica or table definition inconsistencies with error ‘Table does not exist’ on the replica due to concurrent read queries on the replica and DDL operations on the writer.

現在、この問題に対して「ALTER の合間に Reader を手動参照する」といった運用回避を行っている場合、3.12.0 へのアップグレードによって状況が改善される可能性があります。

LTS(3.10.x)系へのバックポートを待つのも一つの手ですが、今の運用負荷が限界に近いなら、3.12.0 を検証する価値は十分にあります。

結論:基本は 3.10.x(LTS)ステイ、特定課題があれば 3.12.0 を検討

結論として、「多くの環境では 3.10.x 系の LTS を維持し、最新の 3.10.3 を適用しておく」のが最も低リスクで賢明な判断です。

ただし、DDL 実行時の Reader の挙動に悩まされているプロジェクトに限っては、3.12.0 が救世主になるかもしれません。

「LTS の安心感」と「不具合からの解放」を天秤にかけ、まずはブルー/グリーンデプロイメント等を使って、実際のワークロードで挙動が変わるかテストしてみることをお勧めします。

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フリーランスエンジニア
仕事にも趣味にも IT を駆使するフリーランスエンジニア。技術的な TIPS や日々の生活の中で深堀りしてみたくなったことを備忘録として残していきます。
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