引退した競走馬の活動を支援している牧場や乗馬クラブ
今年になって、クラウドファウンディングや寄付など、引退後の競走馬に対して自分のできる範囲でいくつかサポートをしました。
始まりは、1999 年くらいに島根で起こった馬に対する虐待事件でした。
私の記憶では、その事件によって人間不信に陥った馬たちを救済する活動をされていたのが「乗馬クラブ イグレット」さんだったと思います。
当乗馬クラブでは、ただむやみに馬に乗るだけではなく、馬をよく知り馬を理解すること、馬と人が無理のない関係を作ることによって、乗馬技術も進歩し、楽しく充実した乗馬ライフに繋がると信じます。
競走馬にまったく興味のなかった姉も、事件の内容を知って、一緒に寄付しようと言ってくれたことを今でも覚えています。
競走馬のリトレーニングは大変ですが、少しでもサポートできるように生牧草バンクも登場しました。
今回は、そんな引退馬の支援活動をしている団体や、少しでも長く馬たちに活躍してもらおうと奮闘している乗馬クラブなどを紹介していきます。
引退後の馬生を過ごせる馬たち
昔から、引退後の余生を報じられるのは、大きな活躍をした馬たちに限られてきました。
中央競馬(JRA)や地方競馬で走った馬は、引退後、以下のかたちで第二の馬生を歩むことが多いと思われます。
・種牡馬(牡馬)
・繁殖(牝馬)
・乗馬
・誘導馬
・イベント馬
・牧場で余生を過ごす
もちろん、数年後には別の場所で過ごしていたり、中には海外へ渡る馬もいるので、馬たちには何度も新しい環境で生活するケースが出てきます。
しかし、なかなか次の行き先が決まらなかったりする馬もいるわけで、それらの馬たちを 1 頭でも多く支援しようとする活動も増えてきました。
「志村どうぶつ園(現在の I LOVE みんなのどうぶつ園)」のテレビ番組の 1 コーナーで、競走馬として活躍していた引退後の「イクラトロ」を引き取るという機会もありましたね。
あれは偶然、引き取り先の牧場にいた馬の都合でというのがキッカケでしたが、それでも 1 頭でも安心して暮らしていける先が見つかるというのは素晴らしいことだと思います。
ヴェルサイユリゾートファーム
「-引退馬支援を考える- 馬も人も共生できる牧場をここから」という内容で、Readyfor というクラウドファンディングサイトで募集が開始されました。
ページを紹介するとともに、一部引用させていただきます。
当牧場は現在、オーナー様からお預かりしている馬も含めて約40頭の繁殖牝馬と15頭の仔馬たちの世話をし、16頭の引退馬も預かっています。馬に関われば関わるほど、「引退馬の6割弱に訪れている現状をどうにかしたい」という思いは強くなり、数年前から引退馬を預かる活動を始めました。
この牧場には、大きなレースを勝った馬では以下の馬たちが繋養されています。
・ローズキングダム
・タイキシャトル
・メイショウドトウ
タイキシャトルは私が大好きだった馬の 1 頭で、キョウエイマーチやスギノハヤカゼとのマイルから短距離路線のレースを盛り上げてくれました。
残念ながらキョウエイマーチやスギノハヤカゼはもう亡くなってしまいましたが、種牡馬でも大きな功績を残したタイキシャトルが、一時的に行き先がなくなりかけていたのはすごくショックなことでした。
また、このクラウドファンディングの数か月後、タイキシャトルなどの「鬣(たてがみ)」が切られる事件が発生し、一部のマナー違反をするファンによって嫌な空気になってしまいました。
しかし、クラウドファンディング自体は成功をおさめ、目標であった設備の改修などが着々と進んでいるようです。
少しでも長く、そして多くの馬たちがのびのびと過ごせることを祈るばかりです。
2023 年現在、Yogibo さんがスポンサーとなって活動の幅が広がっています。
認定NPO法人 引退馬協会
冒頭で紹介した「イグレット」
現在は、「認定NPO法人 引退馬協会」というものが発足されて、こちらの方になじみのある方も多いかもしれませんね。
認定NPO法人引退馬協会は、引退馬の里親制度であるフォスターペアレント制度の運営をはじめとして、引退馬に関わるさまざまな活動を行っています。そんな私たちの活動を支援していただける会員を募集しています。馬が好きで、引退馬のために役立つことをしたいとお考えなら、ぜひ、引退馬協会の会員となることをご検討ください。一頭でも多くの引退馬に穏やかな「馬生」を過ごしてもらえるような環境づくりを、いっしょに進めていきましょう。
今ではウマ娘で火が付いた「ナイスネイチャのバースデードネーション」ですが、私もその前から参加させてもらっていました。
ナイスネイチャは競馬を初めて見た 1995 年当時に現役だった馬です。
有馬記念で何度も善戦したことで有名ですが、高松宮杯(今の高松宮記念)を勝った時のヌイグルミが UFO キャッチャーにあったので持ってました。
残念ながら 2023 年に 35 歳で亡くなってしまいましたが、競走馬の長寿記録にもなったシンザンと並ぶ大往生だったと思います。
来年以降も何かしら継続されると思いますが、バースデードネーションのページを紹介するとともに、一部引用させていただきます。
みなさん、こんにちわ!ぼくはナイスネイチャ。1988年4月16日に生まれた31歳の元競走馬です。競馬ファンのみなさんには、毎年年末に行われるグランプリレース「有馬記念」で1991年から3年連続3着という名(?)記録を残したことから「ブロンズコレクター」と呼ばれていました。当時一緒に走ったトウカイテイオーやメジロマックイーンは競走生活を引退した後に種牡馬になって活躍し、今は空へかえってのんびりと暮らしています。僕も種牡馬になったんだけど、早くに引退して、引退競走馬の支援活動を行っている「認定NPO法人引退馬協会」の里親制度で余生を支えられるフォスターホースとして生まれ故郷の北海道・浦河町にある渡辺牧場で暮らしています。
競走馬はどの馬にもそれぞれのドラマがあります。
ナイスネイチャのラストランは有馬記念ではありませんでした。
有馬記念を回避した理由を「やまさき拓味」さんのマンガで読んで、競走馬がどれだけ身を削ってレースに出ているか、そして無事にレースに出走させるための関係者の苦労など、奥深いところを知りました。
シャイニングステーブル
たまたま Twitter で見かけた、乗馬クラブにいる馬たちを支援する呼びかけです。
この時は「魚津乗馬クラブ」でしたが、2023 年現在「シャイニングステーブル」として存続しているようです。
ハッピーグリン
引退馬支援とは毛色が違いますが、クラウドファンディングがどのようなものかを自分で体験するために、ハッピーグリンの海外挑戦を支援するプロジェクトにも参加しました。
「ハッピーグリン 香港GI遠征プロジェクト〜地方馬による海外GI制覇の夢へ〜」という内容で、CAMPFIRE というクラウドファンディングサイトで募集が開始されました。
ページを紹介するとともに、一部引用させていただきます。
中央の馬主資格を取得するのは中々難しいですが、地方の馬主資格は所得が年間500万円ほどあれば良いので一般のサラリーマンでもなる事が出来ますから、海外GIを制し、所属を問わず活躍出来る事にもっと注目が集まれば、「自分も馬主になってみようかな」というファンの方も増えると思いますし、それはセリ市の活性化に繋がり、馬産地の振興にもつながります。私だけでなく色んな人を「ハッピー」にする事の出来るコスモバルク以来の、地方馬による海外GI制覇への夢を、是非ご支援ください!!
このように、競走馬関連のクラウドファウンディング利用が増えることで、引退馬支援の道も広がっていくと思いますので紹介させていただきました。
生牧草バンク
生牧草バンク(引退馬へのクラウドギフティング)のサービスが盛り上がりつつあります。
引退した競走馬や登録されている馬たちに、その時に旬の生牧草を届けられるというサービスです。
2023 年 12 月現在、400 頭を超える馬が登録されており、居場所がわかれば新しく馬を追加することも可能です。
「ふるさと納税」で購入も可能なようなので、現役時代に応援していた馬や、出資していた馬が見つかるかもしれません。
まとめ
ここまで紹介してきたように、2019 年に初めて参加したクラウドファンディングですが、支援をする際に、毎回クラウドファンディングのサイトが異なるのは意外に不便です。
アカウントが複数になるのと(メールアドレスじゃなくてSNS連携すれば済む話ですが)、決済情報(クレジットカード情報)もあちらこちらで使用しているとリスクが高まります。
勝手な理想ですが、月額 3000 円などで本当に困っている団体へ配分されるような仕組みがあるといいのですけどね。
3000 団体あると仮定すると、月額 3000 円だと 1 円ずつしか配られないですが、会員が 10 万人いれば 10 万円ずつ毎月支援が行き届くわけです。
また、クラウドファンディングを立ち上げる場合は、事業計画に近い目標や近況など、支援者に伝わるようなページを作成するだけでも大きな労力が必要となります。
本当に切羽詰まっていたら「ヴェルサイユリゾートファーム」さんのように、本業の合間を縫って想いを伝えるページを作成するのでしょうが、すべての団体ができることではありません。
少しでも協力したいという思いはありつつも、特定の団体にしか支援できていないのが残念ですが、活動の場や支援の形が増えていくといいですね。